印刷やコーティング作業による環境負荷には、まずインキに使用されている溶剤が乾燥されることによる有機溶剤(VOC)の大気中への排出があります。
この点で、フレキソ印刷では、水性インキが実用化され、VOCを排出することなく印刷ができます。
従来から水性インキを使用していた紙への印刷に加えて、フィルムや不織布素材への印刷も水性化の技術が開発されています。
水性フレキソと水性グラビアの差は、水性グラビアのインキの塗布料が、フレキソの倍以上であることです。このため水性グラビアでは、インキの乾燥に、通常より多大なエネルギーが必要となり、環境負荷が増えてしまうという問題があります。
水性フレキソでは、もともとインキの塗布料が少ないために、乾燥に必要なエネルギーも低く抑えられ、印刷速度のスピードダウンもありません。
平成18年(2006年)4月1日に施行された改正大気汚染防止法では、既存施設には平成22年3月末までの適用猶予を取りながらも、揮発性有機化合物の排出量を規制しています。対象となるのは、グラビア印刷機およびオフセット輪転機で、いずれも有機化合物の排出量がフレキソ印刷よりも高くなる印刷機です。
フレキソ印刷については、有機化合物の排出量が少ないこととともに、前述の通り乾燥エアー排出量も少なく、法規制の対象とはなっておりません。